海苔のお話し(8)
◎新海苔の養殖準備始まる
今年も海苔養殖が始まるシーズンになりました。
東日本(東海地区以北)地区では、海苔網に海苔の種付け作業が始まっています。種付け作業を産地では「採苗」と言いますが、その方法は、「陸上採苗」と「野外採苗」の2通りがあります。
9月から始まる種付けの方法は「陸上採苗」と言う方法です。産地によって大きさが違いますが、直径約2〜4メートル、幅2メートル位の大きな鉄輪(産地では水車と呼んでます)に海苔網(幅約1.2〜1.8m、長さ約18m)を十数枚から数百枚を巻きつけて、横3m×縦4m×水深0.5m位の海水を入れた水槽の中にのり種を潜り込ませた牡蠣ガラを全面に敷き詰めて、水槽の中を鉄輪を回転させながら牡蠣ガラから出て来る海苔種を必要な量だけ海苔網に付着させる方法です。
この作業は、概ね漁協などの組合が中心に行っています。海苔網に種が付着したことを顕微鏡で見ながら重ねた海苔網のすべてに種が付くまで回転させます。この種をつけた海苔網は、のり網を張込む漁場の水温が23℃以下になるまで、冷蔵庫の中で保管されます。
「野外採苗」と言う方法は、海苔網を30枚程度重ねて、重ねた網の下部にビニール袋を吊り下げて、その袋に海苔種が入った牡蠣ガラを1〜2枚入れて、30枚重ねた網を漁場に張込み、ビニール袋に海水が入り、海苔種が袋に入った海水を伝って、海苔網に付着させる方法です。
この場合、海水が23℃以下で海苔種が海中に出易い状態でなければ、実施することが出来ません。
したがって、10月に入って行われることになりますが、東日本地区は10月上旬に行われる事が多く、
西日本地区は10月中旬以降に行なう産地が多くなっています。
有明海の採苗時期は、赤、緑、黄色、白と色とりどりの海苔網が、一面に広がり、冬の風物詩として、
テレビや新聞で報道されます。10月中旬から下旬に掛けて、佐賀空港を利用されると、
この模様が低空で見られます。
日本一の海苔生産地「有明海」の冬ならではの姿が見られます。ちなみに、9月から10月初めにかけては、海苔網を支える支柱が建てられます。その支柱の数は、有明海全体で約400万本に達します。
いま、支柱建て込みの最後の追い込み時期になっています。 |